オーパ!! EXPEDITION 第6弾  

「KUME ISLAND 2008」


まるで特急列車の車窓から外の景色を眺めた時のように物事がはっきり見えぬままに過ぎ去っていく。

処理しなければならない書類や仕上げねばならない図面が洪水のようにPCのディスプレイから溢れ出して襲い掛かってくる。

僕は思わずPCの電源を引き抜きたくなる衝動にかられる。

 ブチッ!!

ディスプレイは一瞬にして闇となり、現実を消去する。そして僕は翌朝機上の人となる。

5月9日の早朝、僕たちは羽田発のJAL機で那覇を経由し久米島を目指す。

メンバーは去年の久米島、パラオ遠征の時と同じベッチとMr.フィリピン(Mr.P)。

那覇から久米島までは例のバスに翼をつけたようなかわいい飛行機。


ここで釣り界では超有名人のチャーマスやTVでもおなじみの永井裕策氏や清水希香さんと乗り合わせた。雑誌やTVの取材のようだ。


今回利用したホテルはイーフビーチホテル。

写真はホテルの庭からの眺め。大浴場もあるし、トイレもシャワートイレで快適なのだが、港からやや遠いのが難点だ。



1日目(5月9日)


沖縄は梅雨入り直前。到着した翌日以降は天候の悪化が予想されたため、船長の勧めで当初予定していた島周りでジギングという初日のスケジュールを変更し、パヤオでマグロを狙うことにした。

船はいつもの由奈丸、港から1時間半の5番パヤオで今回の釣りを開始した。

去年釣果に恵まれず、どうしても結果のほしいMr.Pは上原船長の手ほどきでパラシュート釣りに挑戦。ベッチと僕はキャスティングでスタート。

まずキャスティングの僕が1メーターくらいのシイラをキャッチしたが、ここではシイラは船上で血を飛び散らかす厄介者。それに目標の20キロオーバーのマグロねらいのタックルでは釣っても面白味に欠ける。

次にベッチがポッパーでキメジをキャッチ。しかし、目標には遠く及ばないサイズ。


パラシュート釣りとはコマセのキビナゴの中に針のついた餌を混ぜ、布袋に包んで海中に投入し、マグロのいる棚で大きくしゃくって袋の中のコマセとともに針のついた餌を放出して釣るこの地方特有の釣方だ。

Mr.Pとともにパラシュート釣りをしていた船長は電動リールで20~30キロのキハダを順調にキャッチ。

なかなかあたりさえなかったMr.Pだったが、仕掛けを回収しようとした時、竿先が海中に引き込まれドラグが悲鳴をあげた。


 

パラシュート釣りとはいえヒットしてからはスタンディングでのファイトだ。

リールを巻いては出され、巻いては出されマグロとの長い戦いがスタートした。

一進一退の攻防が30分も過ぎると顔に苦痛の表情が浮かんでくる。

この男の人生で、こんなに真剣な表情をするのはおそらく初めてのことだろう。

ラシュート釣りとはいえヒットしてからはスタンディングでのファイトだ。

リールを巻いては出され、巻いては出されマグロとの長い戦いがスタートした。

一進一退の攻防が30分も過ぎると顔に苦痛の表情が浮かんでくる。

この男の人生で、こんなに真剣な表情をするのはおそらく初めてのことだろう


1時間近い攻防の末、ようやくマグロは浮いてきた。

長いパラシュート釣りのリーダーを船長がつかんだその時、急にマグロが船の後方に走り、スクリューに突進した。ラインはスクリューにからみブレーク・・・・・・。

マグロは逃げ去った。


40キロオーバーは確実のマグロは一か八かの自殺行為ともいえる行動に出て一命を取り留めた。

この男に釣られるのを潔しとしないマグロの執念からの行動だろう。

Mr.Pは1時間にわたる激闘が報われず落ち込んだ

しかし、ベッチと僕は正直なところ同情半分とホットした気持ちが半分だ。なにしろこの男調子に乗らせると厄介だ。


案の定、この後20キロ近いマグロを連発し、「去年の俺とは一味違うぜ~。」と変な自信をつけたMr.Pは口も滑らかになる。

結局、 この日僕はシイラ×2で終わってしまった。

お土産にもらった船長が釣った35キロのマグロを持たせてもらっての写真撮影。

こんなはずではなかったのだが・・・・・。